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みなさんには、テスト現場で頻繁に使われる「組み合わせテスト」に関する考え方を理解していただきたいと思います。
さあ、数学の苦手なテスト初心者の人でも自信を持って答えることができますね。
「組み合わせテスト」とは「直交表」や「A--Pairs」を指す。
そして、これらを使う理由は、全条件の組み合わせではパターンが非常に多くなってしまうため、2つの条件の組み合わせを全てカバーするパターンに絞るということです。
先人の残した素晴らしい知恵ですね。
便利な方法だとは思うのですが、誰にでも計算できるわけではないですよね?」ご心配なく!「直交表」や「A--Pairs」を作成するフリーソフトは多数存在するため、簡単に手に入ります。
ソフトさえ入手できれば、使い方は比較的簡単です。
先ほどの例にあったように、各条件と選択肢を入力すれば、勝手に計算してくれます。
奇跡の方法?「うーん、384パターンが20パターンに減るというのは分かったけど…本当にそれでいいの?」鋭い質問です!忘れてほしくないことは、組み合わせテストを使ってパターンを減らすということは、それだけバグを見逃してしまうリスクが上がるということです。
6つの条件の組み合わせを全てカバーした384パターンをテストするのと、2つの条件に限り全てをカバーした20パターンをテストするのでは、テストにかかる費用とバグを見逃すリスクの面で大きく異なるでしょう。
当然ながらより多くのパターンをテストしようとすれば、より多くのコストがかかります。
そしてその分だけリスクは下がります。
よりコストを下げようとすると、その分だけテストできるパターンは減り、リスクも上がってしまいます。
これはリスクとコストのトレードオフと呼ばれます。
本書で繰り返し述べてきたように、昨今のソフトウエアは多機能化してきたため、テストすべきプログラム数が天文学的数字に昇ります。
第3章のソフトウエアテストの大原則でも紹介しましたが、全パターンテストするということは、例外的な場合を除いては不可能となってしまいました。
それではどうするのかというと、ランダムにテストするか、何らかの根拠と規則性を持ってテストするパターンを減らすしかないのです。
この組み合わせテストを利用すれば、2つの条件に限っては全てテストしたと胸を張って答えることができます。
実際、私たちも幾度か実験を行いましたが、組み合わせ技法を用いたほうがランダムテストよるもはるかにバグの検出率が高くなりました。
例えば、新製品の目玉である新機能だけは、全組み合わせのテストをして、その代わりに従来の製品にも搭載していた機能は、組み合わせテストを駆使してパターン数を削滅する。
このように使い分けると有効に機能することでしょう。
注意!玄人の世界ここまでの説明で組み合わせテストの基礎は理解できましたね。
まだテスト設計をしたことがない人も、テスト自体を知らなかった人でも、組み合わせ技法を駆使して簡単にテスト設計ができそうな気がしてきたことでしょう。
残念ながら、そこまで世の中は甘くはありません。
組み合わせ技法を理解するためにここまでは簡単な例に絞って話を進めてきましたが、実際のテスト現場では、同じテスト技法を使いながらももっと深いことが日々行われています。
そう、テスト設計者になるべき壁が存在するのです。
その壁とは、「適切な因子・水準の抽出」と「禁則処理」です。
これらの壁を少しだけ覗いてみましょう。
適切な因子・水準の抽出組み合わせテストを設計するうえで最大のポイントは、適切な因子と水準を抽出することです。
最初に因子と水準について語句説明しておきます。
101ページでは、コンビニのコピー機を例として、表3を紹介しました。
この表の「カラー・モノクロ」「用紙サイズ」「用紙タイプ」などを因子と呼びます。
そして、「カラー」「モノクロ」「A4」「A3」「B5」「B4」などを水準と呼びます。
選んだ因子と水準が不適切なものであれば、せっかく何十時間もかけて行うテストが無駄になってしまう恐れがあります。
そのためテスト設計者は、日ごろから仕様書を穴が開くほど熟読して、開発者に煙たがられるほど質問を繰り返して…涙ぐましい苦労を重ねて適切な因子と水準を探すのです。
大げさだと思われるかもしれませんので、先ほどのコピー機を例に玄人の世界の一端を覗いてみましょう。
先ほど、コピーをする際に選んだ因子と水準は表6の通りです。
このコピー機に精適したテスト設計者であれば、弱点はエラーにより中断した後の再開時だと日ごろの調査から把捉しています。
従って、因子に「エラー・中断」を追加し、その水準として「該当用紙不足」「トナー不足」などを追加します。
さらに、ソフトウエアテストの範囲を超えた例ですが、このコピー機が過去に温度と湿度を原因とする故障が多かったことを知っている設計者であれば、前述の因子に室温や湿度を加えるかもしれません。
この噺では、因子や水準を補足することを紹介しましたが、逆の場合もあります。
つまり余分な因子や水準を省き、本来必要な項目に絞ることによって、不必要なテストパターンを削減することです。
例えば、用紙サイズは現在日本のコピー機のほとんどが17種類のサイズを選択することができます。
従って、本来なら用紙サイズの水準は17種類必要です。
しかし、全てを水準として加えるとテストパターンが膨大に膨れ上がるため、一般的によく使用される用紙サイズに絞って水準を選んでいます。
このようなことは開発者と相談のうえ、決定されます。
この際の工数削減効果は絶大です。
17種類の紙を全て水準に加えたときと、一般的によく使用される4種類の紙に絞ったときでは、組み合わせのパターン数が大きく異なります。
各因子の各水準を掛け合わせて計算すると、組み合わせパターン数はそれぞれ次のようになります。
これらはほんの一振りの例に過ぎません。
数多く存在する因子と水準に対して、同値クラス分割や状態遷移図を駆使しながら、テスト設計者は日々「適切な因子・水準」を抽出できるよう努力しているのです。
禁則処理素人と玄人を分かつ壁がもう1つあります。
ソフトウエアには、設計上不可能な組み合わせが存在します。
例えば、TO宛先とcc宛先に合計3件しか入力できないメールソフトがあるとしましょう(こんなソフトはないと思いますが、分かりやすくするためにTO宛先とcc宛先を合わせた上限を3件にしました)。
この場合の因子・水準はこの表でTO宛先とcc宛先の合計が4件以上になる組み合わせは、ソフトウエアの設定上不可能です。
従って、このまま組み合わせテストを用いて作成したテストパターンには宛先が合計4件以上になるものがいくつか入り込んでしまいます。
実際にそのパターンをテストすると、これらの組み合わせのせいで、確実にエラー表示が出てしまいます。
そのため他の条件の組み合わせをテストできなくなってしまうのです。
このような組み合わせを禁則と呼びます。
禁則が仕様書に書いてあればよいのですが、開発者が書き忘れることや、禁則の存在に気づいていないこともあり得ます。
従って、仕様書を熟読して、日々開発者に質問をする。
地道な努力がテスト設計者には必要なのです。
仮に事前に禁則が分かっている場合でも、禁則となる組み合わせを回避する計算方法が必要です。
このように、簡単なようで意外と奥が深いのが、組み合わせテストなのです。
そして奥が深い分、設計する楽しさは格別です。
平均糾%のバグが検出された。
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